分散の求め方|公式・計算例・母分散と標本分散の違い
分散の求め方は、①平均を求める、②各データから平均を引く、③偏差を二乗して合計する、④母集団ならデータ数 n、標本なら n - 1 で割る、という4段階です。この記事では、数値例で計算を確認し、母分散・標本分散・Excel関数の使い分けまで整理します。
1. 分散の求め方を4ステップで確認
分散を計算するときは、いきなり二乗するのではなく、まずデータの中心である平均を出します。その後、各データが平均からどれだけ離れているかをそろえて比較します。
| 手順 | すること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 平均を求める | データの合計を個数で割る |
| 2 | 偏差を求める | 各データ − 平均 |
| 3 | 偏差を二乗して合計する | 正負を消して離れ具合をそろえる |
| 4 | n または n - 1 で割る | 全体なら母分散、標本なら標本分散 |
最後にどちらで割るかが、分散の計算で最も迷いやすい部分です。データが調べたい全体そのものか、一部を抜き出した標本かを先に決めると間違いにくくなります。
n、標本から推定するなら n - 1 で割ります。2. 分散とは何か
分散は、データが平均の周りにどの程度ばらついているかを表す指標です。平均が同じ2つのデータセットでも、値が平均の近くに集まっているか、大きく離れているかで分散は変わります。
各データから平均を引くだけだと、プラスとマイナスが打ち消し合います。そこで偏差を二乗し、すべてを正の値にしてから平均を取ります。この「偏差の二乗の平均」が分散です。
分散 = 偏差平方和 ÷ データ数
3. 母分散・標本分散の公式
分散には、データ全体を扱う場合と、標本から全体を推定する場合があります。式の違いは分母です。
| 種類 | 公式 | 使う場面 | Excel |
|---|---|---|---|
| 母分散 | Σ(x − μ)² ÷ n | 調べたい全体のデータがそろっている | VAR.P |
| 標本分散 | Σ(x − x̄)² ÷ (n − 1) | 一部の標本から母集団を推定する | VAR.S |
μ は母平均、x̄ は標本平均です。学校の問題で「与えられたデータ全体の分散」を求めるなら母分散として扱うことが多く、統計調査で標本から推定するなら標本分散を使います。
4. 具体例:2・4・6・8の分散を求める
データを 2, 4, 6, 8 とします。まず平均を求めると、(2 + 4 + 6 + 8) ÷ 4 = 5 です。
データ x | 偏差 x − 5 | 偏差の二乗 |
|---|---|---|
| 2 | -3 | 9 |
| 4 | -1 | 1 |
| 6 | 1 | 1 |
| 8 | 3 | 9 |
| 偏差平方和 | 20 | |
母分散
20 ÷ 4 = 5
標本分散
20 ÷ (4 − 1) = 20 ÷ 3 ≒ 6.67
このように、偏差平方和までは同じでも、母分散か標本分散かで答えが変わります。問題文の「全体」「標本」「推定」といった言葉を確認してください。
5. 母分散と標本分散の使い分け
母分散は、手元にあるデータが調べたい対象の全体である場合に使います。たとえば、あるクラス全員のテスト点数をそのクラス内だけで比較するなら、その点数データを母集団として扱えます。
一方、標本分散は、全員を調べられないため一部のデータから全体のばらつきを推定するときに使います。標本平均を使うと偏差が小さめに出やすいため、分母を n - 1 にして補正します。これを不偏分散と呼ぶこともあります。
| 判断の質問 | 選ぶもの |
|---|---|
| 調べたい対象の全データがそろっている? | 母分散、n で割る |
| 全体の一部を取り出して推定している? | 標本分散、不偏分散、n - 1 で割る |
6. ExcelのVAR.P・VAR.Sで計算する
Excelでセル範囲の分散を計算する場合は、母集団か標本かに応じて関数を選びます。先ほどの 2, 4, 6, 8 をA2:A5に入力した例では、次のようになります。
| 目的 | 入力する式 | 結果 |
|---|---|---|
| 母分散 | =VAR.P(A2:A5) | 5 |
| 標本分散 | =VAR.S(A2:A5) | 約6.67 |
Microsoftの公式説明でも、VAR.P は母集団、VAR.S は標本を前提としています。関数名だけで決めず、元データが全体か標本かを確認してください。入力値をブラウザで確認したい場合は 標準偏差計算機、Excel関数の一覧を見たい場合は Excel関数計算 が使えます。
7. 分散と標準偏差の違い
標準偏差は、分散の平方根です。分散は偏差を二乗するため、元データと単位が異なります。たとえば元データが「点」なら、分散は「点の二乗」に相当します。標準偏差を求める手順は標準偏差の計算方法で詳しく確認できます。
そのため、ばらつきを元データと同じ単位で読み取りたいときは標準偏差が便利です。分散は計算式や統計モデルの中間値として使われ、標準偏差は結果を直感的に説明するときによく使われます。両方を確認したいときは 標準偏差計算機で途中式まで照合できます。
分散の求め方を実務で確認するチェック手順
分散の求め方は公式を覚えるだけでなく、入力したデータの範囲と計算の目的をそろえることが重要です。データに抜けや文字が混じっていないか、平均を同じ対象から計算しているか、最後に母分散と標本分散のどちらを選んだかを順に確認します。
計算前にデータの条件を整理する
まず、データの単位と対象範囲を決めます。同じテストを受けた全員の点数をその集団の中で比較するなら母分散、全体から一部を抽出して傾向を推定するなら標本分散です。欠測値を0として扱うと、平均も偏差平方和も変わってしまいます。空欄、文字列、単位の違う値は、計算に含めるかどうかを明確にしてから入力してください。
- データ数
nと対象範囲を数える - 平均を同じデータ集合から求める
- 全体の記述か標本からの推定かを決める
- 答えの単位が元データの二乗になることを確認する
別のデータで手順を再計算する
データ 1, 2, 3, 4, 5 を例にすると、平均は3です。偏差は -2, -1, 0, 1, 2、偏差の二乗は 4, 1, 0, 1, 4 なので、偏差平方和は10になります。母分散は 10 ÷ 5 = 2、標本分散は 10 ÷ 4 = 2.5 です。このように小さなデータで途中式を再現できれば、表計算ソフトの結果を検算しやすくなります。
| 項目 | 計算結果 | 確認する意味 |
|---|---|---|
| 平均 | (1+2+3+4+5) ÷ 5 = 3 | 中心となる値が正しいか |
| 偏差平方和 | 4+1+0+1+4 = 10 | 離れ具合を正の値で合計できているか |
| 母分散 | 10 ÷ 5 = 2 | 全体のばらつきを記述する値 |
| 標本分散 | 10 ÷ 4 = 2.5 | 標本から全体を推定する値 |
分散の大小を比較するときの注意
分散は偏差を二乗しているため、外れ値の影響を受けやすい指標です。平均が同じデータでも、一つだけ極端に大きい値や小さい値が入ると分散は大きくなります。異なる単位や尺度のデータを分散だけで単純比較せず、必要に応じて標準偏差や変動係数なども確認してください。結果を元の単位で説明したい場合は、分散の平方根である標準偏差が適しています。
また、分散が0になるのは、すべてのデータが同じ値のときです。値が一つだけの場合、母分散は0と考えられますが、標本分散は n - 1 = 0 となるため計算できません。分散の求め方を選ぶ前に、データ数とデータのばらつきがあるかを確認しておくと、意味のない比較を避けられます。
複数の集団を比べるときは、平均、分散、標準偏差を同じ条件で計算します。単位や測定方法が異なるデータは、分散の大きさだけで優劣を決めず、元データの範囲や外れ値の有無も併記すると読み手に伝わりやすくなります。
たとえば同じ単位で平均も近い集団なら、分散が小さいほうが値が中心の周りに集まっていると読めます。ただし、分散の差がデータ数の違いだけで生じていないか、外れ値が結果を押し上げていないかも確認し、必要なら元のデータ分布を見てから結論を出します。
単位を変換した場合は、分散も換算後の単位の二乗で表されます。計算前後で単位をそろえることが、分散の比較では基本です。比較前に確認しましょう。
VAR.P / VAR.S と手計算の分母が一致しているかを見比べます。データ数が1つしかない場合は標本分散を求められないため、対象データの数も必ず確認してください。8. 分散の求め方に関するFAQ
まとめ
分散の求め方は、平均、偏差、偏差の二乗、分母の選択という順番で考えると整理できます。全体のデータなら母分散として n で割り、標本から全体を推定するなら標本分散として n - 1 で割ります。
計算結果をすぐに確かめたい場合は 標準偏差計算機を使い、平均や中央値も合わせて確認したい場合は 平均・中央値・最頻値計算機を利用してください。
参考:Excel公式関数
- Microsoft Support:VAR.P function(母集団の分散)
- Microsoft Support:VAR.S function(標本の分散)