3×3行列式の計算方法:サラスの公式を例題でわかりやすく解説

3×3行列式の計算は、まずサラスの公式を使うと短い手順で求められます。ポイントは「右下がり3本の積を足す」「右上がり3本の積を引く」「符号を最後まで崩さない」の3つです。

この記事では、2×2行列式の復習から始めて、3次行列式の求め方、サラスの公式の手順、例題、よくある符号ミスまでまとめます。計算結果を確認したい場合は、最後に紹介する行列計算ツールも使えます。

先に結論: 3×3行列式は、右下がりの積3つを足し、右上がりの積3つを引きます。サラスの公式は3×3専用の覚えやすい計算法で、4×4以上の行列式にはそのまま使えません。

1. 行列式とは何か

行列式は、正方行列に対して定まる1つの数です。2×2行列、3×3行列、4×4行列のように、行と列の数が同じ行列で計算できます。線形代数では、行列式が0かどうかによって逆行列の有無を判断したり、連立方程式の解の性質を調べたりします。

3×3行列式の計算方法を学ぶ目的は、単に公式を暗記することではありません。どの成分を掛け、どの積を足し、どの積を引くのかを整理できるようになると、逆行列、固有値、連立方程式の理解にもつながります。

3×3行列式をサラスの公式で計算する右下がりと右上がりの対角線を示した図
3×3行列式では、右下がりの積を足し、右上がりの積を引く流れを視覚的に整理するとミスを減らせます。

2. 2×2行列式の復習

3×3行列式に入る前に、2×2行列式を確認します。2×2行列式は、左上から右下への積から、右上から左下への積を引いて求めます。

2×2行列式の公式

| a b ; c d | = ad - bc

例:| 2 3 ; 1 4 | = 2×4 - 3×1 = 8 - 3 = 5

この「右下がりを足す、右上がりを引く」という考え方は、サラスの公式でも使います。3×3では対角線の本数が増えるため、どの3つを足して、どの3つを引くのかを表で整理するとわかりやすくなります。

3. サラスの公式とは

サラスの公式は、3×3行列式をたすき掛けのように計算する方法です。3×3行列の右側に1列目と2列目をもう一度書き足し、右下がりの3本の積を足して、右上がりの3本の積を引きます。

3×3行列式の形

| a b c ; d e f ; g h i |

サラスの公式では、aei + bfg + cdh - ceg - bdi - afh と計算します。

重要なのは、サラスの公式は3×3行列式専用だという点です。4×4以上の行列式では、余因子展開や行基本変形など別の方法を使います。この記事では、まず3×3行列式を確実に計算できることに集中します。

4. 3×3行列式の計算手順

3×3 行列式 計算では、次の順番で進めると符号ミスを防ぎやすくなります。慣れるまでは、右下がりの積と右上がりの積を別々に書き出してください。

サラスの公式の手順

  1. 3×3行列の右側に1列目と2列目を書き足す
  2. 右下がりの積を3つ作って足す
  3. 右上がりの積を3つ作って足す
  4. 右下がりの合計から右上がりの合計を引く
方向 扱い
右下がり aei, bfg, cdh 足す
右上がり ceg, bdi, afh 引く

5. 例題1:基本の3×3行列式

次の行列式をサラスの公式で計算します。

| 1 2 3 ; 0 4 5 ; 1 0 6 |

右下がりの積を足す

  • 1×4×6 = 24
  • 2×5×1 = 10
  • 3×0×0 = 0

右下がりの合計は 24 + 10 + 0 = 34 です。

右上がりの積を足す

  • 3×4×1 = 12
  • 2×0×6 = 0
  • 1×5×0 = 0

右上がりの合計は 12 + 0 + 0 = 12 です。したがって、行列式は 34 - 12 = 22 になります。

答え: | 1 2 3 ; 0 4 5 ; 1 0 6 | = 22

6. 例題2:負の数を含む行列式

次は、負の数を含む3次行列式です。サラスの公式そのものは変わりませんが、積の符号に注意します。

| 2 -1 3 ; 1 0 -2 ; 4 5 1 |

右下がりの合計

  • 2×0×1 = 0
  • (-1)×(-2)×4 = 8
  • 3×1×5 = 15

右下がりの合計は 0 + 8 + 15 = 23 です。

右上がりの合計

  • 3×0×4 = 0
  • (-1)×1×1 = -1
  • 2×(-2)×5 = -20

右上がりの合計は 0 + (-1) + (-20) = -21 です。最後に右下がりの合計から右上がりの合計を引くため、23 - (-21) = 44 になります。

答え: | 2 -1 3 ; 1 0 -2 ; 4 5 1 | = 44

7. よくあるミスと対処法

行列式 計算方法を理解していても、実際の計算では符号や引き算の順番で間違えることがあります。特に負の数を含む問題では、途中式を省略しないことが大切です。

ミス 原因 防ぎ方
右上がりの積も足してしまう サラスの公式の引き算を忘れている 右下がり合計 - 右上がり合計の形で書く
負の数の積で符号を間違える マイナスを括弧で囲んでいない (-1)×(-2)×4 のように書く
対角線を1本抜かす 列を書き足さずに暗算している 1列目と2列目を右に再掲してから線を引く
4×4行列にも使ってしまう サラスの公式の適用範囲を混同している サラスの公式は3×3専用と覚える

8. 計算ツールで検算する方法

手計算で3×3行列式を求めたら、最後に計算ツールで検算すると安心です。当サイトの 行列計算ツール では、行列の加算、減算、乗算に加えて、行列式や逆行列も確認できます。

学習では、最初からツールだけに頼るより、サラスの公式で一度手計算し、そのあとツールで答えを照合する方法がおすすめです。どこで間違えたかを見つけやすくなり、符号ミスにも気づきやすくなります。

関連ツール

9. よくある質問

サラスの公式は3×3行列式で使えます。2×2では通常の ad-bc を使い、4×4以上では余因子展開や行基本変形など別の方法を使います。

3×3行列式で、対角線方向に掛けて足し引きする計算を「たすき掛け」のように説明することがあります。厳密な呼び方としてはサラスの公式と呼ぶのが一般的です。

一番多いのは符号ミスです。右上がりの合計を引くところで、負の数を含む積をさらに引く場面があります。23 - (-21) のように、最後の引き算を省略せずに書くと防ぎやすくなります。

使えません。サラスの公式は3×3行列式専用です。4×4以上では、余因子展開、行基本変形、計算ツールなどを使って求めます。

正方行列の行列式が0なら、その行列には逆行列が存在しません。連立方程式や線形変換の性質を調べるときにも、行列式が0かどうかは重要な判断材料になります。

10. まとめ

3×3行列式の計算方法は、サラスの公式を使うと整理しやすくなります。右下がりの積3つを足し、右上がりの積3つを引くという流れを守れば、基本的な3次行列式は短い手順で求められます。

ただし、負の数を含む問題では符号ミスが起きやすいため、途中式を省略しないことが大切です。右下がりの合計と右上がりの合計を分けて書き、最後に「右下がり合計 - 右上がり合計」として計算しましょう。

手計算に慣れてきたら、行列計算ツール で検算すると理解が定着しやすくなります。公式を覚えるだけでなく、どの積を足し、どの積を引くのかを説明できる状態を目指すと、行列式の学習がかなり楽になります。