根号を含む式の計算|分数と二重根号を例題で解説

根号を含む式の計算で大切なのは、いきなり小数に直すことではありません。まず根号の中を簡単にし、同類根号を見つけ、乗除や分数の処理を行い、最後に元の式と同じ値か確認します。この記事では、根号を含む式のいろいろな計算を、分数・有理化・二重根号まで例題付きで整理します。

1. 根号を含む式の計算は4段階で整理する

根号を含む式の計算は、次の順番を固定すると途中式がぶれません。特に、加減より前に根号を簡単化することがポイントです。

段階すること確認例
1根号の中を素因数分解する\sqrt{72}=\sqrt{36\times2}
2完全平方数を根号の外へ出す\sqrt{72}=6\sqrt{2}
3同類根号をまとめ、乗除を計算する2\sqrt{3}+5\sqrt{3}=7\sqrt{3}
4二乗・逆算・近似値で検算する元の式と同じ値になるか確認
根号を含む式を分解、簡単化、同類根号の計算、検算の順に整理する流れ
根号の計算は「分解 → 簡単化 → まとめる → 確認」の順番を守ると、式変形のミスを減らせます。

2. 根号を簡単にする方法

根号の中に4、9、16、25、36のような完全平方数が含まれていれば、そこを外へ出せます。根号を含む式の計算では、加減や分数の処理に入る前にこの操作を行います。

積に分ける

\sqrt{72} は、最大の完全平方数36を使って

\sqrt{72}=\sqrt{36\times2}=6\sqrt{2}

分数でも分ける

分子と分母を先に約分し、平方数の平方根を求めます。

\sqrt{\frac{18}{8}}=\sqrt{\frac{9}{4}}=\frac{3}{2}

注意:\sqrt{a+b}\sqrt{a}+\sqrt{b} と分けることは、一般にはできません。分けられるのは積や、条件を満たす分数などです。

3. 根号の加減と同類根号

加減ができるのは、根号の中が同じ同類根号です。見た目が違っても、先に簡単化すると同じ根号になる場合があります。

途中式答え
\sqrt{12}+\sqrt{27}2\sqrt{3}+3\sqrt{3}5\sqrt{3}
4\sqrt{5}-\sqrt{20}4\sqrt{5}-2\sqrt{5}2\sqrt{5}
\sqrt{2}+\sqrt{3}根号の中が異なるこれ以上まとめない

「係数だけを足し、根号の中は変えない」と覚えると安全です。2\sqrt{7}+3\sqrt{7}=5\sqrt{7} であり、\sqrt{14} にはなりません。

4. 根号の乗除と分配法則

乗法では根号の中を掛け合わせ、除法では根号の中を割り合わせてから、完全平方数を探します。係数がある場合は係数どうしも計算します。

乗法の例

2\sqrt{6}\times3\sqrt{15} は、係数と根号を分けて考えます。

2\times3\times\sqrt{6\times15}=6\sqrt{90}=18\sqrt{10}

分配法則の例

\sqrt{2}(\sqrt{8}+\sqrt{18}) は、先に分配します。

\sqrt{2}\sqrt{8}+\sqrt{2}\sqrt{18}=\sqrt{16}+\sqrt{36}=4+6=10

割り算では、\frac{\sqrt{75}}{\sqrt{3}}=\sqrt{25}=5 のように一つの根号へまとめると見通しがよくなります。分母に根号が残る場合は、次の有理化を使います。

5. 分数計算と分母の有理化

有理化とは、分母にある根号をなくして、分母を有理数にする操作です。根号を含む式の分数計算では、分子と分母に同じ数を掛けても値が変わらない性質を利用します。

分母が1つの根号

\frac{1}{\sqrt{3}} の分子・分母に \sqrt{3} を掛けます。

\frac{1}{\sqrt{3}}\times\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{3}}=\frac{\sqrt{3}}{3}

分母が和や差

共役な式を掛け、平方差の公式を使います。

\frac{1}{\sqrt{5}+2}\times\frac{\sqrt{5}-2}{\sqrt{5}-2}=\sqrt{5}-2

分母の有理化と二重根号の整理を左右で説明する数学図解
分母の根号を消す有理化と、二重根号を分解する考え方は、共役や平方の形を見つけることが共通しています。
検算のコツ:有理化の前後で近似値を比べると、分子・分母の掛け忘れを見つけやすくなります。ただし、近似値だけを答えにせず、正確な根号の形も残してください。

6. 展開・因数分解・二重根号

根号を含む式の展開

根号を含む式でも、分配法則や平方差の公式はそのまま使えます。たとえば、

(\sqrt{3}+2)(\sqrt{3}-2)=(\sqrt{3})^2-2^2=3-4=-1

のように、共役な形を見つけると計算量を減らせます。展開した後は、同類根号が残っていないか確認します。

二重根号の基本

二重根号は、根号の中にさらに根号がある形です。すべての式を無理に分解できるわけではありませんが、平方の形を作れる場合は次のように考えます。

\sqrt{5+2\sqrt{6}}=\sqrt{3}+\sqrt{2}

右辺を二乗すると、3+2\sqrt{6}+2=5+2\sqrt{6} となるため、正の平方根として一致します。二重根号では、係数と根号の中を展開して元の式に戻るかを必ず確認してください。

式の形注目するポイント使う考え方
(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2中央項が 2\sqrt{ab} になる平方展開
(\sqrt{a}+\sqrt{b})(\sqrt{a}-\sqrt{b})中央項が消える平方差・共役
\sqrt{a+b\sqrt{c}}二乗して一致する形を探す二重根号の分解

7. よくある間違いと確認方法

やってはいけない変形

  • \sqrt{a+b}=\sqrt{a}+\sqrt{b} と分ける
  • \sqrt{2}+\sqrt{3}=\sqrt{5} とする
  • 有理化で分子だけに根号を掛ける
  • 小数に直して正確な形を消す

提出前の4チェック

  1. 根号の中に完全平方数が残っていないか
  2. 加減で同類根号だけをまとめたか
  3. 分母に根号が残っていないか
  4. 答えを二乗して元の式に戻るか

途中式が長くなったときは、1行に1つの変形だけを書きます。答え合わせには平方根計算機を使えますが、計算機の小数値と自分の正確な式が同じ値かを確認する道具として利用しましょう。

8. 根号を含む式の計算 FAQ

まず根号の中を素因数分解し、完全平方数を外へ出します。その後に同類根号の加減、乗除、分数や有理化へ進むと、途中式を整理しやすくなります。

一般には分解できません。\sqrt{a+b}\sqrt{a}+\sqrt{b} は別の値です。積の平方根を分ける性質と混同しないようにしましょう。

問題文が「分母を有理化せよ」と指定している場合や、分母に根号を残さない形が標準解答になっている場合は必要です。指定がなければ、式の値が正しく、見やすい形なら別の表し方が認められることもあります。

中身を2つの平方根の和や差の平方にできる場合に分解できます。候補を二乗して元の式に戻るかを確認し、分解できない式を無理に簡単化しないことが大切です。

まとめ

根号を含む式の計算は、根号の簡単化、同類根号の整理、乗除・分配、分数と有理化、必要に応じた二重根号の分解という順で考えると解きやすくなります。式を小数に置き換える前に、正確な根号の形を残しておくことが重要です。

基礎の定義や平方根の性質は平方根計算の完全ガイド、問題演習は平方根の計算問題と解き方、ルート全般の考え方はルート計算の実践ガイドで復習できます。因数分解の公式を確認したい場合は因数分解のやり方も参考になります。